INDEX

1.ダビデとの出会い。
2.笑いが止まらない。
3.トイレ覚え。
4.猫だよ、猫!
5.ダビデ、最初の試練。
6.ダビデという名、
それ以前。
7.お買得な猫?!
8.ノミ、ノミ、ノミ、
のちハゲ。
9..ブカブカの首輪。
10.ダビデがもっとも
威嚇した人。
11.グルメ・バースディ。
12.墨が付いてるよ!
13.ペット不可の苦労。
14.配線カジカジ。
15.お、大きいですね…

1.ダビデとの出会い。

チョイチョイッと柵の中から猫パンチをしながら「遊んで〜」と言いたげな表情の子猫。それが近所にオープンしたばかりのペットショップで出会ったダビデだった。
悪臭漂うショップの中で、ノミだらけ、おしっこまみれの新聞紙の上を、まだ小さすぎておぼつかない足取りのダビデがヨタヨタと走り回っていた。他の子猫たちがみんなグッタリと横たわっている中で、彼だけは元気いっぱいなのだ。柵の中に指を入れてみると、チョイチョイッと小さな手を何度も出してくる。「なんて元気で可愛い子なんだろう…」その姿に釘付けになり、大きくてまん丸な瞳で見つめられた瞬間、「この子を飼いたい!」という思いに駆られた。
「飼ってもいい?」とダンナに聞いたら「欲しければいいんじゃない」と言ってくれた。彼もダビデが可愛くて仕方ないようだ。3万円という値段が付いていた。アメショーなのに安すぎるのではないだろうか?この怪しげなペットショップは不衛生で、動物を可愛がっている様子もゼロ。「私たちが飼わなければ!これは運命の出会いなんだ」という勝手な思い込みで「すみません、この子ください!」という言葉が咄嗟に口から出ていた。
私たち夫婦は猫を飼ったことはない。とりあえず店員に聞いてドライフードやトイレなどを買い込み、小さな箱に入れられたダビデを胸に抱え、帰り道を急いだ。
猫を飼おうと思って入ったペットショップではなかったけれど、その日からダビデが我が家の一員になった。それが彼にとって幸せだったのかどうかはわからない。でも私たちにとってダビデは、幸せ以上の幸せを運んできてくれたように思う。とにかく、蒸し暑い6月の夕暮れ時、私たち夫婦はダビデという愛すべき猫に出会ったのだった。

inserted by FC2 system